旅をする知

ソーシャルワーカーとして、旅をするように学ぶ。それは形を変えても生き続ける。

『子どもたちの階級闘争』読了

『子どもたちの階級闘争』、専門書以外で今年一番のオススメ本かも?

 

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底辺託児所から見た英国の政治の影響。
子どもや福祉に関わる人全てに読んでほしいなあ。
保育・教育、貧困・生活保護、虐待、レイシズム・人種差別、移民、尊厳、障害・インクルーシブ、精神障害者のボランティア、母親支援(DV・アル中など)、政権交代…色んな問題が1つのコミュニティの話にギュッと詰まっていた。難しくではなく、等身大で。
本当に正論ではどうにもならないよなあ…ということばっかり。
日本とも共通する問題や、私が普段学校で関わっている事例が、極端に激しく英国の底辺で展開されていて、そこからたくさん学べることがあった。

「働く気のない人は生活保護打ち切ればいい」という考えを持つ人はいるが、子どものいる家庭が、緊縮財政による生活保護打ち切りになった後どんなに過酷か、そしてそれによる最大の被害者は子どもであり、実際にその未来を奪われていること。

また、移民やアンダークラス(英国人の最下層)の親がたちが、お互いに差別し合うこと。移民ばかりが排除されるわけではないのが驚き。移民が逆にアンダークラス出身の真面目な英国人保育士を偏見のみで辞めさせることもあったり。
そして、それはまた子どもたち同士の差別にもつながること。明らかで日常当たり前にあるんだろうなって差別は、読むだけで心が裂けそうだ。
でも、少しずつ少しずつ、地道に託児所でできることがある。

虐待をされた子たちを多く預かる場所でもあったため、子どもの遊び方の異常さや、どのような暴力行為に影響するかも興味深かった。
あー、こーゆー子いるわぁぁってなる。
そこに関わり続ける保育士の重要さ。

そして、とりあえず子どもを奪う悪魔のソーシャルワーカー像って本当に何なんだろう…笑

とりあえずオススメです。